入れ歯を作る際に正確な型取りができなかったり、噛み合わせや舌・筋肉の動きが考慮されていなかったりすると、患者様は合わない入れ歯を使うことになります。
合わない入れ歯を使っていると、うまく噛めなかったり痛かったり外れやすかったりと、様々なストレスが生じます。
このような悩みを抱えていると、食事をすることがストレスになり、食べる量が減って栄養が偏ったり痩せてしまったりします。合う入れ歯を作り直したことで、もとの健康的な身体に戻ったというケースも少なくありません。
また、入れ歯の噛み合わせが悪いと、骨格が歪んだり、腰痛、肩こり、偏頭痛、手足のしびれなど、全身に影響が出ることもあります。
さらに、合わない入れ歯だと着脱時に余計な力がかかり、歯茎や周辺の歯を傷つけてしまうこともあります。
このように、自分に合う入れ歯を作ることはとても大切なことです。
これから入れ歯を作る方は、ご自分にぴったり合う入れ歯を作ることができるよう、歯科医師とよくご相談ください。
入れ歯の種類
入れ歯は、大きく「総入れ歯」と「部分入れ歯」の二つに分けることができます。
総入れ歯
全ての歯を失ってしまった場合に使う入れ歯のこと。上下それぞれの歯が一続きになった大きな入れ歯です。
部分入れ歯
歯を失った部分のみに使用する入れ歯のこと。歯が1本でも残っていれば、部分入れ歯を使うことになります。残っている健康な歯を使って固定します。
さらに入れ歯には保険診療の入れ歯と自由診療の入れ歯があり、それぞれに様々な材質や形状があります。
それぞれメリットとデメリットがありますので、歯科医師とよく相談し、ご自分にぴったりの入れ歯を作製してください。
自費診療の入れ歯
金属床義歯
費用:20万~(税別)
○ 食べ物の熱い、冷たいがよく伝わって食事が美味しい
○ 金属部分は汚れにくく、清潔さを保ちやすい
○ 薄く細くできるので快適
○ 丈夫で壊れにくい
○ たわまないので残った歯と歯茎にやさしい
○ いろいろな種類の金属があり、金属アレルギーの恐れが少ないチタンもあります。
× 治療費用
バネを使わない入れ歯(ノンクラスプデンチャー)
費用:15万~(税別)
ノンクラスプデンチャーのメリット
・クラスプという金属のバネがないので、人から見える位置に入れ歯を装着しても目立ちにくいです
・保険適用の入れ歯と違い、柔軟性があるので装着感が向上します
・自費治療の入れ歯ですが他の種類の入れ歯(テレスコープシステム、金属床の入れ歯など)より費用が比較的安価です
ノンクラスプデンチャーのデメリット
・強度はそこまで高くないので、噛み合わせによっては壊れやすいです
・機能的には保険の入れ歯とたいして差がありません
・材質に柔軟性があるので、入れ歯が動きやすく支えになる歯をダメにしたり、歯肉や骨にもダメージが蓄積します
・樹脂性のため柔らかさがあり、経年的に入れ歯の維持する力が緩くなる
・壊れた時の修理・調整が難しいです
ノンクラスプデンチャーについてのまとめと当院の考え
個人的には、入れ歯本来の目的から外れたものがノンクラスプデンチャーであると思います。
保険の入れ歯に比較すると、見えるところに金属のバネがないので審美的には良さそうに感じられると思います。しかし、咬み合わせのバランスを良くするものではありません。入れ歯が動かずに全体の咬み合わせのバランスを取れないといけないと思います。
どうしてもマイナス面ばかりが目立ちますが、需要があるのは事実なので、やるからには最低限の対策を練ります。
具体的には定期的なメンテナンスです。
作った入れ歯が壊れたり、入れ歯の支えになる歯や残っている歯がダメになることを想定し、よく相談してから予算の範囲内で治療の選択をするのがよいのではないかと思います。